夫婦ふたりぼっち

暑い日が続きます。
涼をとりながら
お体大切にお過ごしください。


2012年6月12日
※過去記事より


夫婦ふたりぼっち


Mさんは、奥さんと二人暮らし
子どもはいない
30年間夫婦共働きでコツコツと働いてきた
着るものも着ないで
食べるものも食べないで
働いてきた
これから先ゆっくりと温泉へでも行こうかと
思っていた矢先
奥さんが認知症になった
ある日、突然に


夜も寝ない
昼間は何もしない
夫が出かけようとすると
どこへ行くのかと外出を阻む
自分の思い通りにならないと暴れる
夜な夜な近所を徘徊し呼び鈴を鳴らす


そんなMさんが近所の人に
連れられてやってきた
ぼろぼろだった
「大変でしたね・・・」と声をかけると
80歳になる大男が
セキを切ったように泣き出した
優しかった妻が3か月前から
徐々に豹変してきたという
この1か月はケンカも絶えず
殺意さえ抱き始めて
限界を感じていたという
体重も13キロ減ってしまった
どうしたらいいか
そんな相談だった


まずは病院で治療を受けましょうと話し
受診の段取りをした
病院も事情を考慮し入院になった
今も家に帰りたいと妻から電話が来るそうだが
一緒には暮らせないことをMさんは感じている
奥さんの預金はおろせないので
成年後見人制度の説明をして
書士を紹介した


そして奥さんは
田舎に帰りたいということになり
田舎の親戚にも連絡を取った
田舎の親せきの受け入れは良好で
そちらで施設を探してくれるという
話も出ている


今日は成年後見が成立するまでの数か月
妻が生活できる施設を見てきたという
自分も入りたいというほ
どすてきな所だったと話していた
奥さんがMさんを忘れてしまう日も
そう遠くはない
田舎がいいのか
Mさんとスープの冷めない距離の
施設がいいのか
私にもわからない


この夫婦のように
すぐに有料老人ホームに入れるのは
毎月30万円の利用料を払える人
入居金の数百万が払える人
お金があればどんな施設にも入れる
それが現実
私が言いたいのはそんなことではない


夫婦は30年間
つつましく一生懸命働いてきたという事実
たしかに子どもがいない分
お金はたまるのだろう
でもコツコツと
食べるものや着るものまで節約して
貯めて来たお金には変わりない
多くの夫婦はしりつぼみとなる
子どもの大学資金まで出して育てて
老後は年金でささやかな生活を送っている


晩年近くになって
Mさんは妻の認知症の発症をきっかけに
何かに気付いたのだろうう
これからは自分のためと
そして妻のためにお金を使います
と言っていた
Mさんは30年ともに働きづめだった妻に
感謝している
そして今は妻がしてほしいということを
してあげたいという


Mさんはやって来て
毎回奥さんの話をしては、泣く


夫婦、ふたりぼっち




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夫婦、不思議な縁(えにし)♡

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