精神ひとりぼっち

2012年4月7日
※過去記事より


特効薬


もう40年以上も前の話
父が勤めていた病院の
一番奥にある窓に鉄格子がある病棟
そこを通るたび
柵のついた窓越しから
手を振る若いおばさんがいた
看護婦さんたちは
「はなちゃ~ん!バイバ~イ!」と言って
手を振り返していたのを見て
いつしか私も
「はなちゃ~ん、バイバ~イ!」と
声をかけるのが習慣になった
引っ越して通り道ではなくなってから
その後はなちゃんが
どうなったかは知らない


仕事柄、高齢者の
精神疾患の方の相談が多い
一人暮らし、生活保護、家族との疎遠
うつ病が、カゼのようなものって
言われるようになって
精神病に対する偏見が
減ってきているのだろうか


私のなかでは 
単なる「脳の器質的および機能的疾患」
内科の病気と比べると
考え方、感じ方の一部が
通常から逸脱するわけだから
言動や行動が突拍子もなく
精神科の知識がなければ
「異常」としか見えない



先日、交番から電話があり
下半身すっぽんぽんで
徘徊している女性を保護している
との連絡があり
同僚が迎えに行った
誰かはわかっていたので
ズボンを持って迎えに行った


かつて社会の第一線で活躍していた彼女
発病してからは働けず
兄弟はいるのだが
これまでさんざん呼び出されてきたせいか
一切のかかわりは持ちたくないと全面拒否
結婚はしていない
子どももいない
こんなケースをいくつも抱えている


いつも思うことがある
統合失調症や双極性障害などの
精神疾患の特効薬があったらと
糖尿病にインスリンがあるように
精神疾患にも特効薬ができないものだろうか


中国には3千万人以上の
統合失調症の患者がいる
精神疾患は人口比の数%と言われているから
日本にも最小でも100万人以上の患者がいる
ここ数十年で病院の建て替えがあって
病棟はきれいになった
でもそこが我が家になっている
患者がほとんどで
いったん入院したら
家族も会いに来なくなっているのが現実


病気に対する理解をして
誰もが自分自身や家族に
起こりうる問題として
精神科領域の病気も考えてほしいと
心から思う


一番辛くて、悲しい思いをしているのは
病気を抱えている「本人」であることを
忘れてはいけない


なぜ私がこんなことを書いたのかというと
ある臨床心理士のブログを
読ませていただいて
涙が止まらなかったから
みんな生きているんだ
助け合って支えあって生きているんだって
感じたから



鉄格子の窓から手を振っていたはなちゃんは
今も元気でいるのだろうか





2012年6月26日
※過去記事より



ひとりぼっち


人間やめたくなるくらい落ち込んだり
どこへも持っていけそうにない
重すぎる怒りや
誰にもわかってもらえないような 
悲しみを抱えてしまうと
見知らぬ人の さりげない一言が
たまらなく心にしみることがある


つまらないことを言ってしまったと 
後悔したり
その一言で 
大切な人が傷ついたと知ったとき
自分は貝になりたいと思った


頑張っても頑張っても 
できないことがあると
世界中の誰よりも 
自分が無能でみじめな存在だと感じた


叶わない相手に恋をして
最初からダメだとわかっているのに
それでも独りよがりの
片思いを通した思春期
結局は「愛される」という
安易な道を選んで生きてきた


365日生きていて
幸せを感じるのは1日あればいい
そう思って残りの364日を
その1日のために生きている


北国の根雪が 
春にはやがて溶けていくように
梅雨の雨が 
盛夏の太陽を運んでくるように
いつかきっと
明るい灯にたどり着くことができる
だから人は生きていく
だから人は頑張れるんだ


皆が一人ぼっちでないように
君も決してひとりなんかではないからと
自分に言い聞かせて また生きていく





※はなちゃんコーナー※


こんにちは~

2016年ごろ 8歳? 





2019年ごろ 11歳


またね~!




私は貝になりたい♡

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